4月、学級開き。 新しい学級を組織していくために、決めるべきことがたくさんありますね。学級担任として、定められた時間内で多くの事がらを生徒に決めさせなければないません。今回はその中でも、「学級目標」をAIを使って決める方法を紹介します。具体的な手順は、
- 生徒に学級目標のアイディアを考えさせる
- AIテキストマイニングに取り込む
- 分析したデータを基に学級目標を決める
です。
AIが自動的に学級目標を決めてくれる?!
流石にそこまでAI任せ、他力本願ではありません。あくまでAIはサポート役で、アイディアを考えたり、最後の決定を行うのは生徒自身です。学級目標の決め方にもいろいろありますが、多くの学級では、
- 一人一案、学級目標を提案する。または、アイディアがある人が案を出す。
- 出揃ったアイディアの中から1つに絞る。または、複数を組み合わせていいとこ取りで決める。
しかし、たくさんの情報(アイディア)から取捨選択していくのは難しいものです。ましては学級という集団で意見を統一させるという難しさもあります。そこで、情報分析をAIにお任せするわけです。
学級目標とは
そもそも、学級目標とは何でしょうか。学級目標には次の役割があります。
生徒がどのような集団でありたいか、またはどのような集団になりたいか、その方向性を示す。
生徒が話し合いを始める前に、担任の想い、もし事前に聞くことができれば保護者の願いを伝えておくことも大事です。大人たちの気持ちを伝える、絶好のタイミングです。
AIテキストマイニングを使って学級目標決め
ここからは、AIを活用する具体的な手順を説明していきます。使うツールは、無料webアプリの「AIテキストマイニング」です。テキストマイニングとは、文章から単語を抽出し、出現頻度をカウントしたり、系統ごとに分類することです。ここでAIテキストマイニングの優れた点は、
- AIが文章を分析して、一瞬で文章を特徴づける単語を抽出してくれる。
- 単語をマップやランキング形式にして視覚化する機能がすばらしい。
です。どのように単語を抽出するかというと、単語の重要度をスコア化し、それにより順位を決めています。単純に出現頻度をカウントすると、「がある」、「のある」といった単語が上位になってしまいますが、そういった一般的な文章によく出現する単語はAIが重要度を下げ、一般的な文章にはあまり出ないが、分析にかけた文章では出現頻度が高い単語は、その文章を特徴づける単語としてAIが重要度を上げます。人間がそんなことをやっていたら途方もない時間がかかりますが、そういった処理はAIの得意とするところです。
では、私が実践した具体的な手順を説明します。
手順1 生徒に学級目標のアイディアを考えさせる
新しい学級での学校生活が始まったところで、学級活動の時間を使って、生徒一人ひとりに学級目標のアイディアを考えてもらい、紙に書いて提出してもらいました。ただし、AIテキストマイニングに取り込むためにはデータ化しないといけないので、エクセルに打ち込みました。イメージは下のような状態です。※ワードやメモ帳でもOKです。
手順2 AIテキストマイニングに取り込む
データ化した学級目標をAIテキストマイニングに取り込みます。具体的には、文章をコピーして貼り付けるだけです。エクセルの場合はセルをまとめて選択した状態でコピーして、AIテキストマイニングに貼り付けます。
手順3 分析したデータを基に学級目標を決める
分析結果の表示は複数のパターンで表示されるます。一つ目は、「ワードクラウド」です。前述した単語の重要度を基に算出したスコアが高い単語を複数選び出し、その値に応じた大きさで図示しています。 単語の色は品詞の種類で異なっており、青色が名詞、赤色が動詞、緑色が形容詞、灰色が感動詞を表しています。サンプルで作った学級目標を分析したところ、次のような結果になりました。
一番大きな文字は、真ん中の赤字(動詞)の「助け合える」でした。この画像を提示しながら、話し合わせるというのも一つの方法でしょう。
二つ目は、「単語出現頻度」です。こちらはスコアをもとにグラフ形式で並べて表示されるので、正直、こちらの方が参考にしやすいです。分析結果は次のようになりました。
ただし、そのままでは出現頻度順に並べられているので、スコアと書かれているところをクリックして、スコア順にします。
学級目標へのしやすさからいうと、動詞が参考になるでしょう。「助け合い」や「思いやり」のスコアが高いので、そういった考えを大事にしている生徒が多いことが分かります。こちらを基に話し合わせ、組み合わせて文章化したり、キャッチフレーズを当てはめたりするとよいでしょう。
この2つ以外にも「共起キーワード」、「2次元マップ」、さらに、ユーザー登録(無料)をすると「係り受け解析」、「階層的クラスタリング」という分析も行うことができますが、今回分析にかけた文章量としては、先に紹介した、「ワードクラウド」、「単語出現頻度」くらいで十分でしょう。
おわりに
いかがだったでしょうか?参考になれば幸いです。AIテキストマイニングは、これ以外にも、生徒同士が考えを書きこんだデータをまとめて取り込んで傾向を読み取るなど、授業にも活用できます。また、活用する場面があれば紹介したいと思います。
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